開発・技術

ミニPoCで失敗リスクを下げる——小さく試して見極める開発の進め方

システムを作りたいが、失敗したときの影響が怖い。

ミニPoCで失敗リスクを下げる——小さく試して見極める開発の進め方

「システムを作りたいが、失敗したときの影響が怖い」。 こうした相談は、IT専任がいない会社や、一人情シスの会社でよく出ます。特に、前のベンダーが離れたあとに中身を触れないシステムが残っている場合、次の開発に踏み切る判断は簡単ではありません。

そこで使いやすい進め方が、ミニPoCです。PoCは「本格開発の前に、小さく試して確かめること」です。難しく考える必要はありません。まず1つの業務、1つの画面、1つの処理に絞り、現場で使えるかを短期間で見ます。

最初から大きく作らない

最初から大きく作らない

ミニPoCの目的は、成功を約束することではありません。失敗してよい範囲を先に決め、判断材料を集めることです。

たとえば、受発注、見積作成、問い合わせ対応、日報集計など、毎日発生する作業から1つ選びます。期間は2〜4週間、対象者は2〜5名ほどで十分です。全社展開を前提にせず、「このやり方で続けられそうか」を確かめます。

最初から半年かけて全体を作ると、途中で現場の使い方とずれても戻しにくくなります。ミニPoCなら、合わないと分かった時点で方向を変えられます。損失を小さくしながら、次の判断に進めます。

試す前に「見る数字」を決める

小さく試すだけでは、稟議の材料になりません。始める前に、何を見て判断するかを決めます。

見る数字は、難しい指標でなくて構いません。

  • 1件あたりの作業時間が何分減ったか
  • 二重入力が何回減ったか
  • 手戻りや確認依頼が何件減ったか
  • 担当者が週に何回使ったか
  • 現場から出た修正要望が何件あったか

たとえば、見積作成に1件30分かかっている会社で、下書き作成を一部仕組み化して10分短縮できたとします。月60件なら、月600分、つまり10時間の削減です。この数字があると、役員会でも「便利そう」ではなく「月10時間分の改善」として説明できます。

ミニPoCで見るべきは技術より業務のずれ

ミニPoCで本当に見たいのは、技術が動くかだけではありません。現場の流れに合うかです。

たとえば、入力画面は作れたとしても、実際には営業担当が外出先でスマートフォンから確認したい場合があります。承認者が1人だと思っていたら、金額によって2段階承認が必要な場合もあります。紙の伝票が残る前提を見落とすと、現場では使いづらくなります。

こうしたずれは、設計書だけでは見えにくいものです。小さく動くものを現場に触ってもらうと、「ここで止まる」「この項目名では分からない」「この順番だと二重入力になる」といった声が出ます。この声こそ、本格開発の前に得たい判断材料です。

丸投げでも自前主義でもない進め方にする

丸投げでも自前主義でもない進め方にする

ミニPoCは、外部に丸投げするためのものではありません。一方で、社内だけで抱え込む必要もありません。

おすすめするのは、外部の開発者と社内担当者が一緒に棚卸しし、判断の根拠を残しながら進める形です。現場の業務は社内の方が一番よく知っています。外部側は、業務をどう仕組みに落とすか、どこを作り込みすぎないかを整理します。

この進め方なら、社内に知見を残せます。どの業務を対象にしたのか、なぜその機能を試したのか、やめた案は何か。本格開発に進む場合も、見送る場合も、次の担当者が判断をたどれます。

過去に丸投げ開発でノウハウが残らなかった会社ほど、この記録が効きます。完成物だけを受け取るのではなく、判断の過程も社内に残すことが、塩漬けを防ぐ下地になります。

失敗の基準も先に決める

ミニPoCでは、うまくいかない場合の扱いも先に決めます。

たとえば「2週間使っても利用が週1回未満なら止める」「作業時間が10%も減らなければ別案を考える」「現場の確認作業が増えるなら作り直す」といった基準です。失敗の基準があると、感覚だけで続ける状態を避けられます。

小さく試した結果、作らない判断になることもあります。それは無駄ではありません。大きな費用をかける前に、合わない案を外せたということです。

まずは1業務、1指標、1か月から始める

最初の一歩は、対象を絞ることです。「受発注全体を変える」ではなく、「注文内容の二重入力を減らす」まで小さくします。「業務効率を上げる」ではなく、「1件あたりの入力時間を5分減らす」と置きます。

TaskBrainでは、2009年から中小〜中堅企業の業務改善とシステム開発を支援してきました。支援実績は120社以上、従業員15名規模から1000名超まで幅があります。約240名の化学品商社では、受発注の入力を整理し、関連工数を約50%削減した例もあります。

ミニPoCは、派手な開発手法ではありません。ですが、IT専任が少ない会社ほど、失敗の範囲を小さくし、社内に判断材料を残せる現実的な進め方です。

「どの業務から小さく試すべきか」「稟議に出せる数字をどう作るか」を整理したい場合は、30分の無料相談で現状をお聞かせください。現場の棚卸しから、ミニPoCの設計まで一緒に整理します。

業務改善の着手順、PoCの判断材料、社内説明に使う数字を、続けて読める記事です。

回収できる改善テーマを、30分で一緒に絞ります。

「何から手をつけるべきか」「半年でどの数字を見るべきか」が曖昧な段階で相談してください。社内のご担当者と一緒に、業務の詰まり、費用レンジ、最初に試す1業務を整理します。

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初回は課題の優先順位づけと、おおよその費用レンジ、最初の半年で動かす数字の見立てまで。確定見積もりは次回、現状を見てからお出しします。